学長通信『則天去私』 President's Blog

No.2 秋の雲 2022年10月

“遠き樹の上なる雲とわが胸と たまたま逢ひぬ静かなる日や”

この季節の私の好きな歌。明治後期、落合直文・与謝野鉄幹らが創始した浅香社の門下、尾上柴舟が自然体で詠んだ秋の季の歌です。

秋と言えば、どこまでも高く、一片の雲も無い藍より青き空を思い浮かべる方も多いと思います。一方で、秋らしい雲が重なるように流れる空に季節を感じる方もいるでしょう。

この歌は、動的ではない、とても静かな歌で、色を感じる歌です。空の青、木の緑、雲の白、そしてわが胸の中の色は果たして。。。?それをただ感じ、心象と遥かな形象の出逢いを偶然の結ぼれとして抱く歌でしょうか。古来から雲は、人間の胸の中を去来する思いを投影するものとして描かれたり、感じられたりしてきました。また、雲に乗って大空を旅したい、下界を見下ろしたいという願望が、人間を高みにいざない、気球や飛行船や飛行機を生み出して来たのではないかと思います。人は、雲に純粋な(純白な)夢を今も昔も感じて、空を見上げるのです。

9月17日(土)からライフシフト大学第7期が始まりました。30代から60代までの13人の皆さんが、いきいきと文字通り新入生の期待と少しの緊張を持ちながら、入学式とオリエンテーションに臨みました。その息吹がリモートの画面越しに伝わってきました。この文章を書く時点で、既に3回の授業を終え、ブレイクアウトルームでの受講生同士の会話も、秋らしく透明で活気溢れる姿になってきたところです。ひとりの受講生が昨日のジャーナリングで『自分のできる範囲(can)でしかやりたいこと(will)を考えられなくなっていた自分。

もう一度しきりを外して「本当にやりたいこと」を見つけられる自分を取り戻したい。』と書いてくれました。

この写真は、以前訪れた秋の妙高高原で撮った写真です。静寂な鏡面のような水に映る空行く雲と遥かな山々です。透徹した感受性で自分を眺めるべき時に向き合っています。


(著者:藤田 英樹)