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第9期オープンセミナー①「『支援型リーダーシップ』の重要性とそのためのコミュニケーションの実践」レポート

人生100年時代、80歳現役時代となった今、ライフシフト大学ではライフシフトプランニングやキャリアデザインのような人生設計・キャリア設計など、学び直しの場を提供しています。

今回は『「支援型リーダーシップ」の重要性とそのためのコミュニケーションの実践』をテーマに開催されたオープンセミナー(2023年5月23日開催)より、コミュニケーションに求められる「支援型リーダーシップ」について、ライフシフト大学教授の大隅裕之がご紹介します。

学ぶ楽しみを知り、学びを習慣化するライフシフト大学

今日はライフシフト大学第9期の講義の一つ「支援型リーダーシップ」の重要性とそのためのコミュニケーションの実践について、講義のイメージが湧くようなお話をしたいと思います。

さて、人生100年時代・80歳現役時代という言葉をよく耳にするようになりました。また、ロンドンビジネススクールの教授、リンダ・グラットンさんの『ライフシフト 100年時代の人生戦略』という本は大きな話題となりました。これまで平均寿命が80歳だったときは60歳で仕事をリタイアし、その後は悠々自適な生活を送ればよかったのですが、今は寿命が伸びています。実に先進国の半数以上が100歳以上の長生きだと言われています。寿命が伸びるということはこれまでの老後とは異なる人生設計、すなわちライフシフトをしなければなりません。そもそも人生100年時代、80歳現役時代とはどういうことなのか。これまでは、学生の期間である20歳前後、仕事をする期間が60歳前後、定年後の老後という3ステージ型人生と言われていました。これが80歳現役時代になると仕事をする期間が40年から60年に伸びます。この60年を生きるために必要なのがマルチステージ型人生へのシフトです。

では何がマルチなのか。例えば就職してから一つの会社で80歳まで勤めるということはほとんどありえません。転職する、仕事を変える、これがマルチです。60年間のマルチステージを生きるためには、自ら変身しなければならない、シフトしなければならない。これがライフシフトにつながります。

このマルチ部分の選択肢は実に多様化しています。今の会社を辞めて次の会社に再就職する。地方や海外の企業に移る。これまでは大企業勤めだったけど、次は中小企業で仕事をする。組織に縛られずに独立起業をする人も増えていますし、社会貢献を目指してNPO・NGOでボランティアをするシニアも増えています。もちろん今の会社でスキルを磨く人や、本業に加えて副業を手掛ける人もいます。ライフシフト大学をはじめ、社会人大学で学び直しをする、資格を取る人もいるでしょう。これらはすべてマルチステージであり、その選択肢はどんどん広がっています。

また、ここまで仕事の話を中心にしてきましたが、ライフシフトとは仕事のことばかりではありません。人生100年時代を過ごすには働くだけでなく、学ぶことも遊ぶことも重要です。働く・学ぶ・遊ぶのバランスをとることもマルチだと言えます。ライフシフト大学はこの中の「学ぶ」にフォーカスした学校です。人生100年時代においてはキャリア自律、日本型雇用からジョブ型雇用、適材適所から適所適材、DX人材の不足などさまざまな課題があり、自分自身の市場価値を上げるための学び直し、リスキリングやリカレントが必要だと言われていますが、どうせ学ぶなら楽しみながら学ぶ習慣を身につけたいものです。ライフシフト大学では、学ぶ楽しみを知って、学ぶことを習慣化することを基本のスタンスとしています。

協働して高い成果を生み出す「支援型リーダーシップ」とは

それでは講義の中身について少し触れてみましょう。ただのコミュニケーション講座ではありません。キーワードは「支援型リーダーシップ」です。ライフシフト大学受講者の大半はミドル・シニア層、あるいはリーダー層です。そこに求められるのが「支援型リーダーシップ」、すなわち自身と他者との関係性の質を高め、協働して高い成果を生むための効果的なコミュニケーションが実践できるようになることを目指します。「支援型リーダーシップ」を身につけるには、傾聴力・共感力・コーチング力・信頼関係構築力・モチベート力などの要素が必要です。これらを一つひとつ紐解きながら、実践的な演習も交えて学んでいきます。

さて「支援型リーダーシップ」を身につけるには、これまで実践してきたリーダーシップからのシフトが必要です。例えば上から目線ではなく、パートナー同士だという横から目線。ポジションパワーで管理するのではなく、メンター役としてメンバーをサポートする。目標達成のために短期的にプレッシャーをかけるだけでなく、メンバーの成長を長い目で見守る。結果だけでなくプロセスも重視する。評価だけでなく中立的な立場でアドバイスをする。叱ってばかりではなく、ねぎらって感謝するといったことが求められます。管理・権限中心のマネジメントだけでなく、人間力を活かして若手層を導く姿勢が必要です。必ず支援型にならなくてはいけないのではなく、支援型リーダーシップの要素を意識することがポイントになります。

「支援型リーダーシップ」には10個の要素があります。傾聴・共感・癒し・気づき・エピソード/ストーリー・キーワード・先の読み・頼りがい・成長支援・コミュニティづくりの10要素です。これらの要素を見て、自分はどれが強いか、どれが苦手か考えてみてください。実際の授業ではワークシートを使って、強いところ・弱いところを洗い出してみて、グループワークでディスカッションをしながらヒント・アイデアを出し合います。

続いてコミュニケーションの4要素についてお話します。要望性・通意性・共感性・信頼性の4つです。要望性とは目標をメンバーに明示したり、成果やアウトプットを要求したりして仕事をオーダーすること、つまりWhatとHowを示すリーダーです。通意性とは仕事のバックグラウンドや意味付け、ビジョンや夢などのWhyを示します。共感性とは文字通りメンバーの気持ちや立場を理解すること。信頼性はメンバーから信頼されることを指します。先ほど「支援型リーダーシップ」に必要な10個の要素を説明しましたが、これらは共感性・信頼性に関わる部分です。仕事では必要に迫られて要望性や通意性を示すことはあっても、共感性や信頼性にまで気が回っていないことが多々あります。そこに気づいていただくのがこの講座のポイントです。

学びを実践に活かすためのジャーナリング

講義の最後にはジャーナリングという振り返りを行います。人間が何かを学ぶときのラーニングステップには「気が付く/知らないことを認知する」「知る/理解する」「試す」「繰り返し日常的に使う」「使いこなす/無意識に使う」「その道のプロになる」「人に教える」の7ステップがありますが、講義を受けただけでは第2ステップで止まってしまいます。そこで気づいたことや学んだことを、次の日から試すためのアクションプランをジャーナリングで考えていただきます。

ライフシフト大学で自分の人生やキャリアについて考え、ビジネススキルを学び直して実践力を高め、学ぶ楽しさや学び続ける習慣を体感していただきたい、そんな思いを持って私も講義をしています。ご興味のある方は、ぜひ第9期のライフシフト大学でお会いできればと思います。

 

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