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第9期オープンセミナー③「ライフシフト概論~人生 100 年、80 歳現役時代を豊かに過ごすための認識と基本ツール~」レポート

長寿命化が進み、人生100年時代・80歳現役時代に日本は突入しつつあります。伸びた現役時代を豊かに過ごすためには、早い段階からその準備に取り掛からなければなりません。ライフシフト大学ではライフシフトプランニングやキャリアデザインのような人生設計・キャリア設計と、改めてビジネススキルを身につける学び直しの場を提供し、自分のやりたいことを実現するサポートをしています。

今回は「ライフシフト概論~人生 100 年、80 歳現役時代を豊かに過ごすための認識と基本ツール~」をテーマに開催されたオープンセミナー(2023年6月15日開催)より、人生100年時代を見据えたライフシフトをどう実現するかについて、ライフシフト大学理事長の徳岡晃一郎がご紹介します。

80歳まで現役で「自分のやりたいことをやる人生」にシフトする

私は現在株式会社ライフシフトのCEO、ライフシフト大学の理事長を務めています。もともとは日産自動車におり、その後コンサルティング会社であるフライシュマン・ヒラード・ジャパン株式会社に入りました。コンサルティングは体力勝負です。私自身も60歳の定年を迎える前に「このままコンサルティングを続けるべきか」と悩んでいたときにリンダ・グラットン氏の著書『LIFE SHIFT』に出会いました。この本を読んで、体力的にコンサルティングを続けるのは難しいだろうと判断した一方で、人生100年時代の今、残り40年もあることに気付きました。何かギアチェンジをしなければならない。そこで自分の第2の人生を含め、皆さんの役に立ちたいという思いから株式会社ライフシフトを立ち上げました。

昨今日本人の寿命は右肩上がりで伸びています。2021年の平均寿命は女性が87歳、男性が81歳です。さらに最多死亡年齢を見ると平均寿命を大きく上回り、女性は93歳、男性は88歳となっています。つまり80歳では追われない時代であると言えます。今までは20歳前後までの学生時代、定年を迎えるまでの現役時代、定年後の老後時代からなる「3ステージ型人生」と呼ばれるものでした。しかし寿命が長くなっている現在、元気に動ける現役時代も80歳まで伸びており、いかに有意義に現役時代を過ごすかが大きな課題となっています。

この現役を長く続ける人生を「マルチステージ型人生」と呼んでいます。そして現役を長く続ける人生にシフトすることを「ライフシフト」と呼んでいます。日本人の寿命が伸びている反面、人口減少が進んでおり、日本の人口はピークを過ぎて下降線に入っています。昨年の出生数と今年の出生数見込みが最近発表されましたが、少子化対策はうまく進んでおらず、この先急激なスピードで日本の人口は減少していきます。さらに若い人が少なくなり、高齢者ばかりになるとさまざまなシーンで社会の脆弱性が現れることが予測されています。河合雅司氏の著書『未来の年表』によると、社会インフラのメンテナンスをする人がいなくなる、工場で働く人がいなくなる、市場が消滅するなどダウンスパイラルに入っていくという笑えない状況が数多く紹介されています。この本を読むと何とかしなければと思うはずです。

実際に「何歳まで収入を伴う仕事をしたいか」という質問に、21.5%もの人が65歳以上も働きたいと回答しています。その理由として「経済的なゆとりが欲しい」「生活費が心配」が半数以上を占めていますが、注目すべきは「仕事が好き」「社会との接点を保ちたい」という回答が1/3近くを占めている点です。

しかしどんな仕事でもできるのかというと、そうは問屋が卸しません。50代以降の有効求人倍率は0.45と低く、リーマン・ショック時代のレベルです。また60代以降になると雇用形態も非正規が増えます。さらに65歳以上になると「警備・交通誘導員」「介護」「コンビニ・スーパーの販売員」「ビル清掃」といった職種が募集の70%以上を占めています。もちろんこれらは社会的に重要な仕事ですが、重要なのは自分がやりたいかどうかです。

自分の第2の人生として80歳まで現役で活動することを考えたときに、自分が選択できる立場にいたいですよね。自分のやりたいことで社会と長く繋がれる幸せを考える。これがライフシフトを早く準備する必要性になり、そのきっかけとなるのがライフシフト大学です。

自分のやりたいことを自分で選べるための準備が重要

重要なのは、これからの長寿命時代に会社を卒業した後、自分はどうするべきかをなるべく早くから考えておくことです。もちろんこのことを理解している人はたくさんいますが、目の前の仕事や家族といった短期的なことで精一杯になってしまい、長期にわたる自分のこと、将来のことを考えられないのが実情です。しかし、長期的な視野を持ってきちんと勉強をしておけばさまざまなことができます。再就職や独立起業、社会貢献など自分のやりたいことを選べる自分を作るために重要になります。しっかりと力を付けておけば、高齢者ばかりの世界においても、若い人たちの代替を務めることが可能です。

選択肢としてはフリーランスも考えられます。今はリモート環境も整っているので、オフィスも必要ありません。ただし自分の能力を売るわけですから、それなりの準備をしておかないといけません。小さな仕事という選択肢もあります。個人で喫茶店や花屋をやるイメージです。社会の中にあるエアポケットや「こんなのがあったらいいな」というものを見つけ、自分の食い扶持だけ稼ぎつつ地元に貢献する。技術はもちろんのこと、集客も必要ですから地元で顔を売っておくといった準備が必要です。このように小さな仕事やフリーランス、地方の中小企業サポート、NPO・NGOなどさまざまな選択肢が考えられますが、これらを自分が選択できるようにするには準備が必要です。大企業に勤めていたからといって、退職後すぐに何かを選べるわけではありません。

自分のやりたいことを実現するには、メンタルやマインドを含め、いろいろな観点から自分の人生を考えることが重要です。人生の「競争戦略」と「成長戦略」のどちらを重視するかがポイントになります。競争戦略は目の前の勝負に勝っていくこと、成長戦略は未来のために準備をすることを指します。日本の企業は成長戦略が弱い。シェア争いをして短期で勝負することは強いのですが、長期でイノベーションを起こすことは苦手です。これは人生にも同じことが言えます。会社組織の中で一生懸命目の前の仕事をやることは大事ですが、先を見据えた人生後半戦の準備はほとんどしていない。あるいは今の仕事がうまくできるようにスキルアップの勉強はしていても、将来やりたいことに備えたリスキリングはしていない。会社や顧客の要望に一生懸命答えるのではなく、自分が本当にやりたいことは何かを考える3ステージ型人生からマルチステージ型人生へのライフシフトを見据えた準備が重要になります。

80歳まで現役でいくためには自分の人生をどうデザインするか。その基本となるのが「終身知創」です。終身にわたって価値を生み出せないと雇ってもらえない。フリーランスでもお客がつかない。ミドル・シニア世代は自分をコントロールして終身知創に向かっていかなければなりません。そこに気付いた方がライフシフト大学で学んでいます。

日本の若者が働きやすい世界をミドル・シニア世代が作る

会社中心の人生で、会社に自分を合わせて生きてきたこれまでの人生「Will(期待を読む)・Can(期待に添う)・Must(なんでもやる)」から、自分中心の人生で、キャリア自律をしていく「Will(好きなこと)・Can(得意なこと)・Create(成し遂げたいこと)」にシフトする。自分が何をやりたいかというキャリア自律はサラリーマンだった人には答えにくい質問かもしれません。これを具体的にどう実現するか。それがライフシフト大学の使命だと考えています。

ライフシフト大学では「思いのピラミッド」というフレームワークを利用して、自分のビジョンを描いてもらいます。なぜそう思ったのか、どのように人に語るかといった準備をし、夢物語で終わらないよう解決するための壁や柵を言語化し、戦略を練っていく。さらに一緒に学ぶ仲間と議論を重ねていきます。ビジョンがないと、結局自分が何をしたいのかわからないまま時間だけが過ぎていきます。逆にビジョンがあって、それをストーリーとして語ることができれば、周囲の人が応援してくれますし、成功の可能性も高くなります。

人口減少で日本はどんどん傷んでいきます。若い人に何とかしてもらうのではなく、ミドル・シニア世代が率先してどうにかする。若者たちがよりよく働けるようにする。ライフシフト大学では、そんなミドル・シニア世代を増やしていきたいと思っています。

 

ライフシフト大学第9期 募集要項および申込ページはこちらです。ぜひご検討ください。

 


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