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第9期オープンセミナー⑦「アラムナイトーク②」レポート

ライフシフト大学ではライフシフト・プランニングやキャリアデザインのような人生設計・キャリア設計と、ビジネススキルの学び直しを教えているほか、アラムナイ(校友会)による卒業後の交流も活発に行われています。

今回は『アラムナイトーク②~ライフシフト経験者談、ライフシフト大学で得たもの~』(2023年8月3日開催)より、第7期卒業生の坂本弘子さんと米澤勝彦さんにライフシフト大学での体験談を語っていただいた様子をお届けします。

ライフシフト大学で得た経験をもとにポートフォリオワーカーを目指す

第7期の坂本です。現在はライフシフトの現在進行形という状況で、キャリアコンサルタントとしてフリーランスで働いています。一方でMUTOHホールディングスという会社の社外取締役・監査等委員も2023年の夏から引き受けています。社外役員は月に2~3回、それ以外はキャリアコンサルタントの仕事をしている状況です。

ライフシフトをする前は朝日新聞社で40年ほど働いていました。新聞記者はとにかく不規則な仕事で、キャリアプランを考える余裕もなかったのですが、50代後半に常勤監査役となり、土日が休み、夜もあまり仕事がない、子どもも独立し、これからどう生きようと思っているまま退社をし、次の仕事を探し始めたタイミングで出会ったのがライフシフト大学です。会社を辞めて新しいことを模索している状況に不安を感じていたので、ライフシフト大学に入学しました。

実際にライフシフト大学に入って良かったことを6つ挙げます。1つ目は年齢や経歴に関係なく、やりたいことを語り合う仲間がたくさんいるということ。2つ目はいろいろなアセスメントや自分のことを語る機会がたくさんあり、自分の振り返りができたこと。3つ目はアートや座禅、体操まで非常に多岐にわたる講義の内容。4つ目はライフシフトプランナー資格試験受検の条件をクリアできること。ライフシフトプランナーの試験を受けられるのは、ライフシフト大学ならではです。私も挑戦してベーシックという資格を持っています。5つ目は実在の企業を題材にした演習です。テーマ演習として実際の企業の課題を解決する演習はとても良い経験になりました。6つ目は同期生の勤務先である大手企業で講演をさせていただく機会をいただいたことです。

現在はキャリアカウンセラーをやっていると申し上げましたが、具体的には企業研修の講師を10ヶ月で425時間務めたり、大学生の就活指導や女性のキャリア支援、企業で働く人のキャリアコンサルティングなどをやったりしています。さらにこの夏からは社外取締役、美術館や大学でのボランティア活動などを行いながら「もっとこんな経験がしたい」「こういう基礎固めが必要だ」と考えながらポートフォリオワーカーを目指しています。

今後についてですが、ライフシフトにゴールはないと考えています。いろいろな経験や出会いがあり、日々楽しいことも反省もたくさんあります。

最後に私の好きな言葉を2つ紹介します。1つは細菌学者パスツールの「Chance favors the prepared mind(用意された心にのみ幸運はやってくる)」、そして教育心理学者クルンボルツの「キャリアの8割は偶然」です。これらの言葉を胸に、毎日ワクワクしながら考えて、次の一歩、さらに次の一歩と進んでいきたいと思っています。

ライフシフト大学で学ぶ楽しさを再認識

第7期の米澤です。まず自己紹介とライフラインチャートを使った波乱万丈期のお話をします。私は1985年にサントリーに入社し、ずっと一社に勤め続けています。2020年にポストオフし、今はキャリアコンサルタントや産業カウンセラーの資格を活かし、社内でのキャリア自立支援の仕事をしています。

ライフラインチャートを見ると、50代前半は山の状態が続いていたのですが、後半に一気に谷底に落ちています。実はこのとき大きな病気をし、1年近く会社に行けない状態でした。「このままビジネス人生が終わるのではないか」「何かやり残したことはないか」「定年後どうしようか」と非常にモヤモヤしていた時期です。

50代前半は会社のキャリアアップが全てで、組織で生き延びるために勉強していました。定年後についても、逃げ切り世代の甘えということで何とか乗り切り、何をするでもなく、のんびりしようという気持ちがありました。しかし大きな病気をして1年間入院し、ほとんど仕事に行けなかったことで、自分の寿命を意識すると同時に、これまでのキャリアや肩書、処遇といった心理的安全性をすべて失い、自己肯定感も喪失して「何のために生きているのか」というところまで落ち込んだ。これが50代の最後です。

そんなときにライフシフト大学を知りました。組織のみの視野の狭い世界から抜け出して、生き生きするための独学力を身につけたり、自分が何をしたいのかを言語化したりできたらいいなと期待を込めて入学を決意しました。

ライフシフト大学のパンフレットやホームページなどで「ライフシフト大学の魅力」が紹介されています。これを元に私なりの感想を述べたいと思います。

1つ目「自分の強み・弱みや市場価値を知ることで自分の未来設計ができます」。これはまさに魅力の一つでした。実際に自分の変身資産や市場価値を見ると「あなたは21世紀のビジネスマンとして全く駄目」との判定で、相当なショックを受けました。ただ、良いも悪いも徹底的に自分と向き合い、自己理解を深められた、つまりライフシフトを考えるための自分軸、選択基準が学べたのは大きなメリットだと思います。

2つ目「異業種の仲間との学び直しで、知の再武装に気兼ねなく取り組めます」。我々7期には13名の仲間がいたのですが、本当にいろいろな業界でさまざまな経験をした仲間の話を聞くことができました。さらに徹底的に勉強したいと思い、カリキュラムで紹介された書籍を貪るように読みました。そのことが終身知創の第1ステップになったのかと思います。会社で生き残るための勉強ではないので、学ぶことの楽しみが身につきました。

3つ目「イノベーターシップを身に着け、自分を変革し、第二の人生へ向けてポジティブで納得いく選択肢が描けます」。シニアとして「なりたい状態」の言語化はキャリアを考える上で最も難しいことです。ライフシフト大学のカリキュラムの中で自分のビジョンや計画を言語化したことは、自分の気付きに繋がりました。

以上、ライフシフト大学での学び3つについて紹介しましたが、実は最大の学びがもう一つあります。我々は物ごとを考えるときにどうしても「どうやる」「何をやる」という目標、つまりHowから入ってしまいます。そうではなく、「何のためにやるか」というWhyが重要だということを学びました。

卒業して半年経ちました。卒業するときに20個の訓示をいただきましたが、そのうちの6個をノートに書き、それを見直しながら常に自分を鼓舞しています。

Q&A~ミドル・シニア世代へのアドバイス~

次にファシリテーターを務めたライフシフト大学藤田学長より、登壇者の2人に質問がありました。

藤田「キャリアの8割は偶然という言葉がありましたが、坂本さんは今までにどのような偶然がありましたか?」

坂本「ライフシフト大学に入るきっかけになった徳岡理事長には多摩大学大学院で出会ったのですが、多摩大学に行った理由がたまたま東京都のシニアスタートアップセミナーに参加したからでした。今の仕事でも、たまたま知り合った方から仕事を紹介してもらうことがあります。チャンスに目を向け、耳を傾けることで共感できるものが見つかりました」

藤田「米澤さんの周りにいる方から変わってきたと言われたり、ご自身がシフトしてきていると感じることはありますか?」

米澤「Whyから考えることが自分の中でできるようになってから、周りの方から考え方が変わったと指摘されるようになりました。また、残り少ない人生だからと諦めがちだったのが、今では個人事業主をやりたい、周りの人と会社を作りたいという行動に繋がりつつあり、意識の変化を感じます」

藤田「本日参加されている40~60代の方に一言アドバイスをお願いします」

坂本「ライフシフト大学で5年後の自分はどうなりたいかという設問があり、私は明るい占い師と答えました。将来どうなりたいと聞かれたときに答えられるようになると、希望が持てますし、目標もできます。Whyの部分をパッと答えられるものを一つ持っていることが大事だと思います」

米澤「一歩を踏み出すことは怖いと思います。でも踏み出すと新しい視界が広がることを私は経験しました。5年先でも1年先でも良いので未来を見ながら一歩を踏み出すことが、キャリアを築いていく上で大事だと思います」

藤田「本日20代の方が参加されています。20代のキャリアについての姿勢やマインドについてアドバイスをお願いします」

米澤「がむしゃらに仕事をして、できることを増やしていくのが20代のキャリア形成にとって大事だと思います。できることが増えていくことの先に、やりたいことがでてきます」

坂本「2点あって、1点目は欲張りであること。若いうちは仕事も趣味も旅行も、やりたいという気持ちを押しつぶさずに大事にしてほしいと思います。2点目は感謝すること。若いときはつい傲慢になりがちですが、私たちはいろいろな人に支えられています。チャンスがあれば感謝、助けてもらったら感謝。感謝を忘れずに自分の欲張りは諦めない。そんな生き方をしてもらえると良いと思います」

参加者「平日仕事をしながら土曜日にライフシフト大学で勉強するのは大変だと思います。モチベーションをどう維持していましたか?」

米澤「毎週土曜日の午後はほとんど潰れてしまいましたが、一度も苦痛に思ったことはありません。カリキュラムで得た情報を自分の中で咀嚼し、関連する本を買って次の週までに読むという勉強が非常に楽しかったです」

坂本「フリーランスで仕事をしていたので、土曜日に仕事が入ることもありました。そういうときは欠席して資料や映像で勉強しました。また事前課題や振り返りといった作業もあり、それなりに時間は取られますが、それでも楽しいと思えるのは、講義が一方通行ではなくグループで議論する時間がたくさんあったり、感想について先生方がコメントしてくれるのが支えになっていたからだと思います。時間的な拘束感はありますが、大学に通っていなければボーッと時間を使っていたのだと思うと貴重な半年間だったと思います」

以上、卒業生に実体験を伺いました。ライフシフト大学での学びをイメージいただけたら幸いです。

ライフシフト大学第9期 募集要項および申込ページはこちらです。ぜひご検討ください。


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